六本木・森美術館「塩田千春展」に行って来ました。
入口から圧倒される展示。
作品と共に添えられた言葉も心に沁みて...魂がふるえました。
添えられていた言葉
「黒は広大に広がる深い宇宙を、赤は人と人をつなぐ赤い糸、
または血液の色を表す。
まるで私のなかの心の宇宙と外の宇宙を繋ぐように、糸は絡まり、
ときにピンと張り詰める。
その関係性はいつまでも途絶えることがない。」
★赤は毛糸、黒はアルカンターラ(Alcantara)という先端素材が使われていた。
その質感の違いが空間の違いとして感じられた。
「人間の命は寿命を終えたら、この宇宙に溶け込んでいくのかもしれない。
もしかしたら死は無と化すことではなく、何かに溶け込んでいく現象に
すぎないのかもしれない。
生から死へ、消滅するのではなく、より広大なものへと溶け込んで行く。
そう考えれば、私はもうこれ以上死に対して恐れを持つ必要がない。
死ぬことも生きることも同じ次元のことなのだ。」
添えられていた言葉
「第一の皮膚は人の皮膚。衣服が第二の皮膚。
だとしたら第三の皮膚は居住空間。
人間のからだを取り囲む壁やドアや窓ではないのか。」
添えられていた言葉
「人は目的地を求めて故郷を離れる。
多国籍の人たちと生活しているとふと自分が日本人であることを忘れる。
鏡に映った自分を目にして初めて黒い髪と黒い目のアジア人だと気づく。
離れれば離れるほど、混ざれば混ざるほど、
自分をもっと見つめ直す場所に到着するような気がする。
スーツケースの山を見ると、その数だけの人の生を見てしまう。
故郷を離れどこかに目的地を求め、どうして旅に出たのか。
その出発の日の朝の人々の気持ちを思い起こしてしまう。」
★いくつかのスーツケースが揺れて、生を感じられた。
アートのエネルギーに充たされました。